「シャーロットはとてもきれいですから、羨ましいです」

本から顔を上げて言う彼女は白雪。M学園初となる東洋からの留学生としてこの学園に来た生徒だ。

「白雪も充分かわいいわ」

シャーロットは白雪を気に入っている。ヨーロッパにはない髪色と目の色で、見た目は黒猫のようだ。しかし見た目とは裏腹にとても人懐っこく中身は子犬のようだ。

「で?また振ったの?」

ドロシーが訊ねると、シャーロットはすぐに「ええ」と頷く。

「私より強くなければ恋愛対象外よ」

冷たくそう言うシャーロットに、「じゃあ一生結婚できないじゃん!」とドロシー。

「できたらでいいのよ、結婚なんて」

シャーロットはそう言って、魔法の呪文を唱える。すると、手から美しい花が咲いた。それを愛おしげに眺め、シャーロットは花を花瓶に挿す。

「でも…シャーロットは結婚しろと周りから言われてるんじゃないですか?」

白雪の言葉に、シャーロットの心は重くなる。シャーロットはとても強い魔力の持ち主だ。強い子供を産めと親戚がお見合い話を持ってくることも珍しくはない。

「……相手が私より強いってこと、あり得ないのかしら」

シャーロットの呟きに、ドロシーが言う。

「そんなに考えなくていいんじゃない?私たちそれぞれにも事情があるんだからさ〜」

「……そうね」

微笑むシャーロットに、ドロシーが「あげるよ」とドーナツを差し出す。

「白雪も食べなよ〜。まだまだあるし!」

ドロシーの近くに置かれている皿には、山のようにドーナツが置かれている。