今はバイトもしていない帰宅部だ。自分で選んだくせに夏子の頑張りを見ていると、たまにギュっと心が熱くなる。
「寄り道しよっかな」
熱い気持ちはやり場がなくて、そのまま家に帰ったってなんか虚しくなるだけだ。
私はいつもならまっすぐの道を左に曲がった。
「せま…」
だんだんと狭くなる道。
垣根と垣根が徐々にくっつくように狭まってくる。もしかして行き止まり?
戻ろうかなあ、どうしようかな
「お、穴」
垣根の下の方に人がギリギリ通れる穴がある。
なんだか少し、冒険的な気分。小学生の頃を思い出す。
ガサガサと枝にぶつかりながら穴を抜ける。
「…綺麗」
そこには石畳みの坂道と町並みが広がっていた。少しずつ出てきた夕焼けに町全体が赤く染まってきていた。