「あれ、中川さんじゃない?」
晴人が指さした方に目をやると小走りで階段を降る果乃がいた。
「めっちゃ急いでるな」
「あの方向だと中庭?」
まさかな、
今日に帰ると果乃の席でひとりお弁当を食べる中野の姿があった。
「なんでひとり?」
「果乃は今用事だから」
中庭に目をやると
やっぱり。
矢野と果乃の姿があった。
「花山、あんたのあの噂、本当だったんだね」
「ああ…うん」
中野は中学が一緒だし、同じクラスになったことだってある。噂とか知られててもおかしくない。
「そうなんだ、頑張れ笑」
「ありがとう」
笑われてしまったけど、いい。
中庭で矢野と何話してるかとか、付き合っちゃうんじゃないかとか、頭の中はぐちゃぐちゃだけど、
今はやっと気持ちが言えることにすごくうれしくなってる自分がいる。