「花山、いや、千景くん。バスケ部だったの?」
「そうだよ。中学まではね」

「すごく上手だったから。私も中学まではバスケ部だったの」
「…知ってるよ」


会ったことあるし。


「え?どこか試合で会ったことある?」
「あるかもしれないし、ないかもしれない」


まだ教えてあげない。
もっと俺に興味持って。


「確かに、会っててもおかしくないし、会ってても気づいてないのかも!あ、でも千景くんに会ってたら記憶に残ってる気がする、一回見たら忘れなさそう」

俺は一回会っただけで、今日まで忘れなかったよ。

「ふふっ、果乃っておもしろい。…これからの俺を見てくれたらいいよ」
「へ?」

はやく気づいてね。

「もう試合始まってるかな~」
「あ!試合!千景くん!行かないと!」
「そうだね」



「果乃、試合。俺を見といてね」



そのあとの試合は自分で言うのもなんだけど、頑張った。果乃がギャラリーで見てるのを横目で確認しながら。