Campus Love～学内恋愛～

しかし、ユウキが、倉科実結の正体をつきとめるまで、そんなに時間はかからなかった。



ユウキは、都内の大学の事務や学会の知り合いの先生にも協力をお願いして、都内の大学の文学部に「倉科実結」という学生がいないか調べてもらった。



名目は、ユウキの大学に忘れ物をしているということにして。



ユウキが予想したとおり、哲学や倫理学の素養のある倉科実結は、やはり文学部の学生で、都内のとある国立大学の１年生だった。



倉科実結がたまたま偽名を使っていなかったのも、幸いした。



ユウキは、その大学の事務員にＹ大学の水崎という先生が、忘れものを届けたいので、連絡をしてほしいと伝えるようにお願いしておいた。



しかも、その週末から、ユウキは学会で東京出張なので、その忘れ物を直接届けてもよいという旨も伝えた。



そう、その「忘れもの」とは、ユウキの気持ちだった。