『楽団みんな、だいぶ仕上がってきたよ。あと少しかな。それでさ…』

『うん…』

『結菜ちゃんに、コンサート見に来て欲しいなって』

『いいの?うん、絶対、見に行きたい。でも、チケット取れないよね、今からじゃ…』

祥太君のコンサート、本当はすごく行きたかった。

でも…

戸惑う自分もいた。

コンサートで輝いてる祥太君を見たら…

私の気持ち、どうなるか、ちょっと不安だったから…

『チケット、はい、これ』

祥太君…チケット取ってくれてたの?

『結菜ちゃんの分だけしかないけど…』

『嬉しい…本当にいいの?』

『もちろんだよ。来週の日曜日の昼だから。俺…コンサートのために、めちゃくちゃ頑張ったから…結菜ちゃんに聞いてもらいたいんだ』

嬉しい。

すごく嬉しいよ。

いろいろ考えなくて、自然に音楽を感じればいいんだよね…

きっと、素敵な時間になるよね…

祥太君、一生懸命頑張ってたから。

私、知ってるよ、ピアノ、いっつも練習してたもんね。