『2人で部屋にこもって、何してるんだか。大人って…いやらしい』

『私、ひなこちゃんが思うようなことは、してないから』

抱きしめられたことは…言えない。

『私、颯君が好きです。ここで会ってからずっと…時々話して、どんどん好きになりました。なのに、大家さんが誘惑するから…颯君、私のこと全然見てくれない』

ひなこちゃん、颯君が好きだったんだ…

『泣かないでひなこちゃん。私達はそんな仲じゃないし、誘惑なんて、本当にしてないから』

『これ以上、颯君に関わらないで。私、颯君のこと絶対あきらめないから』

そう言って、ひなこちゃんは私に背を向けた。

もう、どうしたらいいのか、わからないよ…

私は、ゆっくりと階段を降りた。

『結菜ちゃん、どうしたの?』

祥太君が、声をかけて来た。

『あ、ううん、何でもない。どう、練習上手く進んでる?』

祥太君は、数日後にコンサートを控えていて、練習がハードみたいだった。