そして、私が作った水割りをぐいっと一気に飲み干すと、
「じゃあ、そろそろチェックして」
携帯を取り出すと私と目も合わせずに、メールを打つ動作をしながら男は言う。
ったく、この男は……
そう思いながら、ボーイに目配せをして太ももの辺りで人差し指でバッテンを作る。
その場で会計を済ませると男は席を立ち、店の外へと歩いていく。
その後ろを見送りの為について行く私。
「じゃあ、また近々部屋に行くから」
「はいはい」
「今日はマジでごめんね」
「いいえ。別に」
そんな会話をして、その男が他の女のもとに向かっていく姿を見送る。
男の名前は椎名凌一(シイナリョウイチ)、歳は私と同じ二十三歳。専門学校時代にバイト先で知り合った仲で、
色んな意味で〝お友達”な関係が続いてる。

