「ソムリエナイフをお持ち致しましたが、こちらで開栓致しましょうか?」
一応、そう声をかけると、
「いえ。大丈夫です」
と、黒髪美男子が答えたので、
「では、ごゆっくりどうぞ。失礼致します」
そう言って頭を下げ、ドアへ向かって歩く私。
すると、
「せ、先輩……このワイン高いんじゃ……」
「だって、お前が二十歳の誕生日にワイン飲んでみたいって言ったんだろうが」
「そうですけど……まさか、ホテルでワインだなんて……」
「気に入らなかった?」
「い、いえっ……先輩にお祝いしてもらえて嬉しいです……」
「なら良かった。つーかさ、いい加減“先輩”って呼ぶのやめろ」
「ハ……ハイ……」
部屋から出るまでに聞こえたのは、そんな二人の会話で―…
めっちゃ心がくすぐったくなって、ケーキ1ホール一人で食べきってご馳走様でした!って気分なんだけど、なんて新鮮で微笑ましいやりとりなんだろう。
ドアの手前で一礼する瞬間にチラッと彼女さんの方を見ると、すっごく幸せそうに微笑んでいて、黒髪美男子さんもまた、そんな彼女を見て満足そうな表情をしていた。

