次の日、譲は杏奈の家を訪ねた
「少し歩ける?」
「大丈夫だよ、もう、明日から部活いくし」
「もう1日休まなくていいのか?」
「うん、整体いったら大丈夫だって」
二人は歩いて近くの公園にいく
「譲は練習出来てる?」
「まあな、座って」
ベンチに二人で座る
「俺の話聞いてくれる?」
「?……うん」
「俺、高校の時彼女出来たんだけど、まあこの間会ったよな」
「うん」
「部活も忙しくて、土日も1日練習でさ、夜は杏奈んちのジム行って、それでも俺なりにテストで部活ないときとかは、まあ帰りにデートしたり、俺の中では無理しながらも時間作ってたつもりだったんだよ……それなのに会えないからって別れようって言われて、向こうからつきあってって言われたのに何でだよって……オッケーする時も部活のことはちゃんと説明したし、それでもいいからって付き合ったのに……」
「うん」
「そしたら部活引退したらまた付き合いたいって言われて……何だよ、それって感じで、大学も同じとこに来て、まあつきまとわれてる……」
「うん、前に譲の今の彼女?って話しかけられたことがある」
「うそ!ごめん……あいつ何やってんだよ」
「譲のこと好きなんだね、じゃあ別れなくても引退するまで待つことってできなかったのかなぁ」
「できなかったんだろうな、だから俺、今また水泳頑張ってる時に恋愛なんてしたらまた駄目になるんじゃないかって思ってたんだけど、同じ水泳をする者として杏奈なら俺の気持ちわかってもらえるんじゃないかなって思い始めて、部活と恋愛と両立してさ、お互いいい方向に向かっていける気がするんだ」
返事がなかった
譲は杏奈の顔を覗きこんだ
涙をこぼしながら
「あたしが……無理したから……」
「実はそれもきっかけの一つであったのは間違いではない、杏奈を責めてるんじゃないよ、タイム更新のご褒美とは言ったけど夏休みだしタイム関係なく遊びに行こうとは思ってた、俺が自分のことばかり考えてたからいけなかったんだ、俺のこと小さい時からわかってくれてた子が近くにちゃんといたのに……」
「あたしが怪我したから責任感じてない?」
「ううん、逆にこれから楽しみ(笑)返事は?」
「うっ……お願い……します」
顔をクシャクシャにしながら杏奈は泣いた
「杏奈は昔から泣き虫だな(笑)悔しくて泣いてるとこはよく見たぞ」
「これは嬉し泣きだから……」
譲はそっと杏奈の肩を抱いた
杏奈は暫く譲の胸で泣く…
「二人で頑張ろうな」
頷く杏奈、夏の日の夕方のことだった
「ぐすっ、水族館行きたい」
「(笑)もう決めてたのか?じゃあ大会終わったら次の日休みになってたから行こうな」
「ありがとう」
大会は譲は二位に入り、杏奈は自己ベストは更新したものの決勝進出にはならなかった
そして次の日水族館に初デートに出かける



