「譲、宣伝かよー」
「当たり前じゃん、営業も全部するよ、なあ杏奈」
「そうね、お願いします」
「夫婦だな(笑)」
「杏奈は飲んでないの?」
「律ちゃん、だいぶ飲んでるね、大丈夫?」
「まだ、大丈夫よ、二次会はいくの?」
「譲は行くよ、あたしはごめんね」
「えー、さみしいよ」
「また遊ぼうね」
二人は抱き合った
次の日午後から譲がスクールにやってくる
「あっ、譲くん、オーナーが家のほうに来るようにって」
「わかりました」
ピンポーン
「上がって」
「お邪魔します」
リビングに三人は座った
「杏奈の口から言いなさい」
「はい、あのね、今日午前中に病院に行ってきたの」
「病院?体調悪いのか、大丈夫?」
「内科じゃなくて、産婦人科の方へ」
「産婦人科?」
「三ヶ月だって」
杏奈はお腹をさする
「……俺は父親になるの?」
「喜んでくれるかな……産んでもいい?」
「それは……嬉しい……けど働かなきゃ、俺、杏奈と子供を養えない」
譲は立ち上がる
「えーと、まずどうしたらいいんだろう、市役所?」
「まあ、座りなさい」
「……はい」
「まあ、先月杏奈から生理が来ないって聞いて、元々不順だったから卒業まで待ちましょってことで昨日を迎えたわけなんだけど、譲の考えていたより早くなってしまったから、今後のことを話そうかと思ってね」
「あたしはね元々ここで働く予定だったから社員はやめて家のことをするよ、あと人いないときに受付したりゆっくり動くよ、譲はこのまま選手を続けて欲しい」
「でも、そんな甘えるわけには……」
「譲もここの社員だから普通に給料は出すよ、ただあんたは半年はこっちにいないし、大会によって動かないといけないから籍は入れても杏奈は家で住むってことだよ」
「元々結婚しても留守の間は実家に帰ってもらおうとは思ってた、心配だし」
「だから、今まで通りでいいの」
「いつ、産まれるの?」
「秋だよ」
「まあ、譲が引退するまでは通い夫でいいよ、落ち着いたらこの家を二世帯にでも建て直してくれるとありがたいね」
「頑張ります、すみません、夜両親と挨拶に来ます」
「うん、じゃあ泳いでおいで」
「はい」
譲は頭を下げた
二人は玄関を出る
「杏奈、ごめんな、悩んだだろ?大学も卒業で部活も引退で気が緩んでたな、本当にごめん」
「あたしはね嬉しいの、子供好きだし、これから大好きな手芸で子供のもの作るんだ~、パパ、頑張ってね」
「うん、また夜来るな、じゃあ泳いでくる」



