みことは、柚月と真由が別れるところまで見ていた。

 うらやましく思えて、


 苦しかった。




「みこと先生!」



「あ、はい!!」




 そこにみことに好意をめらめらとしている体育教師が走ってきた。

 何事かと思えば、




「こら!お前らサッカーなんてみこと先生にさせたら危ないだろうが!!」



「げ。学来たよー」




 サッカーをしていた生徒がつぶやく。




「俺は教師だ。名前で呼ぶな。しかもみこと先生を名前で・・」



「自分は良いのかよ」



「俺は、俺だ!!」



「空気読めよ学ーー」



「うるさーい!!今から俺が指導する!みこと先生!見ててください!!」



「ふふ。はーい」




 こうして学こと、井村学はサッカーに混じる。
 みことがふと、校舎をみると下校中の柚月が歩いていた。
 こちらは一度とも見ない。







―柚月くん・・・






あたしは・・・










 ふいに柚月はみことを見る。

 そこにはふんわりと笑っているみことがいた。

 手を振りながら柚月は足早に帰ってしまう。





「みこと先生伏せて!!」



「へ??」



 その声に気づき振り返ると目の前にはサッカーボールが飛んできた。

 案の定、クリーンヒットしてしまいみことは倒れる。


 その光景に柚月はスイッチが入った。



 気が付いたらカバンを放り投げてグラウンド目掛けて走る。





「ここ、ここ、これは俺が責任をもってみこと先生をベッドあいや、保健室に―」



「俺のみことに触るな」




 全速力で走って学から気絶しているみことを奪う。




「・・軽い脳震盪か」


「む。わかるのか」


「親が医者」


「よし、俺様の下僕として」


「じゃ」