『わあ……!』

文化祭はすごく盛り上がってて。
至る所でパフォーマンスだったり催し物だったり。
制服もすっごくおしゃれで。
ベージュのプリーツスカートに白、クリーム、青、ピンクのワイシャツ。
グリーンのネクタイがかわいくって。
なんと、男女で交換するのがカップルの習わしだって噂があったり。

まさに、キラキラな高校生活そのものだった。
勉強は大変だけど、その分他はすっごく楽しい。

その日、みくりちゃんと私は香ヶ丘高校に行く約束をした。

それから1年、ずっとこの日のために勉強してきたんだ。
苦手な英語も頑張って、塾にも行って。
夏休みと冬休みは12時間塾に籠もりきりで勉強した。
ご飯とお風呂以外は勉強してたくらい、それくらい頑張った。

模試で初めてA判定をもらったときはふたりで泣いて喜んだし。
逆に下がったときは見直し復習泣きながら頑張った。

だから、風邪なんかに邪魔されたくない。
ここまでの頑張りを無駄になんかされたくない。

ここまでくるともう意地で。
私はその執念だけで、香ヶ丘までの道のりをつきすすんだ。

『はあ……はあ……』

学校にやっと着いた頃にはもうヘトヘトで。
やっぱり薬を飲んでいないからか、だるさも増していた。

身体も熱いし、視界もぐらぐらする。
ぽーっとしながら、自分の受験票と張り紙の受験番号の教室を照らし合わせる。
でも、焦点が合わないからかぼやけていて。
かかれている番号を読むことができなかった。

どうしよう……ここまできたのに……。
たどり着いても、受けられなかったら意味ないじゃん……。

ぽとり、涙が零れた。

読めなかったのは、焦点が合わなかったからじゃなくて。
あふれ出す涙のせいだと気づいたのはその時だった。