「うーん…!このハンバーグすっごくジューシーですね…!肉汁が…!そして中のチーズはトロトロ蕩けてて…今日も絶品です!」


そんな華麗なる食レポを披露しているのは、いつものようにウチに夕飯を食べにきた天王子。そして


「やっっだぁ~っ!もう、そんな褒めても何も出てこないわよ~?♡♡」


そんな天王子の食レポに顔をピンクに染めて喜んでいるお母さん。




最近、ウチでは毎度おなじみの光景だ。




「あらっ玲くん、ご飯がもうないわよ~♡おかわりする?」


「いいんですか?麻美さんの手料理おいしすぎて、毎回ご飯食べすぎちゃって…」


「やだぁもう!いいのよぉ~育ち盛りなんだから!今おかわり持ってくるわね♡」



ウフフ♡と、とろけきった笑みを浮かべながら、天王子のお茶碗を持ったお母さんがルンルンと席を立った。



あーあ。どうせお世辞だというのに、あんなに喜んじゃって…

たしかにお母さんの料理は美味しいし好きだけど、天王子の言うことなんてどうせ嘘まみれだ。



はぁ、と内心でため息をつきながら、食卓の真ん中に置かれた唐揚げに箸を伸ばしたときだった。



あと一つ残された唐揚げを前に対峙する、私と天王子の箸。




「…一人三つずつなんですけど」


文句を言うと


「これで三つ目だ」


偉そうに言い返してくる。