愛されプリンス½





不意に思い出した。


ここにいる水川開人の存在に。



天王子との言い争いに夢中になってすっかり忘れてたけどもしかして、いやもしかしなくても


あの、天王子に肩引き寄せられたところとか、キスの話とかっ…




全部見られて聞かれてた、よね!?





「あ、あのー、水川クン…」


「…びっくりした」


「え?」




チラッと横目で様子を伺うと、なぜか驚きを宿した瞳でじっと私を見つめている水川。




「…はじめて見た。玲が誰かに焼きそばパンあげてんの」


「は?」


「そっか、ふーん…玲あんな感じなんだ…これは思ったよりも…へぇ…」




一人で何やらボソボソ呟いた後、ニッコリと私に向かって笑みを作った水川開人。



天王子の隙のない上品な笑みとは違う。


無邪気で、屈託のない笑顔。





「ねぇ一花ちゃん。
ぶっちゃけ玲とはどこまでヤッたの?」


「…ん?」




一瞬質問の意味が分からず頭の中で反芻する私。




玲とはどこまでやったの…やった…ヤッた!?!?





「ヤるわけないでしょ!?!?」



「ふーん、じゃまだキス止まりか」



「キスだってしてっ…」





ない、と言いかけたが思い出してしまった。



無理矢理キスされたこと。


しかもそれを写真に撮られて今、こんな羽目になっていること。