「ちょっなっ何でそうなんの!?」
ていうか
「私の唇そんな安くないからー!!」
ドンッと天王子の胸を思い切り押して奴から離れた。
バッカだろ、と得意気に口角をあげる天王子は絶対私をバカにしている。
「冗談だし。何で俺がお前とキスなんてしなくちゃいけねーんだよ」
「そのセリフそっくりそのままお返しします!!!」
「あ?お前…」
天王子が何か言いかけた、そのとき
―――ピンポンパンポーン
『2年A組天王子玲くん、2年A組天王子玲くん、至急校長室にお来しください』
プリンス、まさかの校内放送で呼び出し。
「校長室に呼び出しって…あんた何したの?」
「あ?何もしてねーよ。時々あんだよ、校長俺のこと相当気にいってるから」
天王子が食べかけのメロンパンをビニール袋にしまい、怠そうに立ち上がった。
今の校長先生って、たしか女の先生だ。今年赴任してきたばかりの。
校長まで手玉に取っているとは…恐るべしプリンス。
「じゃー俺行くわ。あ、今日助けてやったことは一生覚えて恩に感じて生きていけよ、じゃーな」
そして恩着せがましくそう言って、屋上を出ていった。
…あんなこと言われると、助けてもらった有難みも100分の1くらいなるんだけど…
バクリ、とそんなことを思いながら焼きそばパンにかぶりついた時だった。



