みのりと並んで廊下を歩く。


何人かの女子とすれ違ったけど、特に変わった様子はない。



「どうしたの一花?なんかキョロキョロしてるけど」

「えっ、べ、別に?」



実は今日、土曜日に天王子と一緒にいたことがバレていないかヒヤヒヤしながら学校に来た。

帰り道は天王子にマスクとサングラスを取られたし、もしバレていたら…と思ったけど。



よかった、誰にも見られてなかったんだ…!




体育館に向かうみのりと途中で別れ、ひとりで教室に向かう。


あー、一時間目の体育の着替え、面倒くさいなぁ。


そんな呑気なことを考えながら教室に入ろうとしたときだった。




「村田一花ってあなた?」



ヒンヤリとした女子の声。


…嫌な予感がする。



ゆっくりと振り向くと、知らない女子が三人、立っていた。



制服のシャツに印刷された校章の色からして3年生。…先輩だ。



「質問に答えてくれる?」



黙ったままの私に痺れをきらしたのか、真ん中に立っている先輩がもう一度聞いてくる。


艶やかな黒い巻き髪に、長い睫毛。しっかりと施されたメイクには全く隙がない。


…すっごい綺麗な人。