「いーや、絶対赤くなってる、タコみてー」


バカにしたようにケラケラ笑いながら、私の顔を意地悪く覗き込む天王子。


「うっうるさいな!」

「なんだよこっち向けよ」

「やだ!」

「こっち向けって」

「うっうるさいな…!ドキドキなんてしてないからね!」



思いっきり顔を逸らしながらそう言えば、なぜかピタリと、天王子の動きが止まった。


そのまま何も言わない天王子。


不審に思ってそっと顔を上げると、天王子のまじまじ私を見つめる瞳とぶつかった。


「な、なに…?」

「…お前さぁ」



天王子が私を見つめたまま口を開く。



「ほんと、なんなの」

「は…?」

「それって計算?それとも天然なワケ」

「はぁ?」



天王子の言っている意味がさっぱり分からない。



首を傾げると、なぜか思い切り顔を歪められた。



「タチわりぃな」



そしてチッと舌打ちすると、不機嫌そうに私の手を引っ張って歩き出す。



「は?何急に怒ってんの?」


「怒ってねーし」


「怒ってんじゃん」


「怒ってねーって黙れドブサイク」



ムカッ…!!!