「え、何で。いいよ!」
「気にすんな。俺、お前よりは金持ってると思うし」
た、たしかに…
今日天王子が見ていた服もみんな、とても高校生では手の出せない値段のものばかりだった。実際に何着か購入してたし。
モデルの収入…?
「や、でも買ってもらう理由なんてないし…」
「俺が買いたいんだよ」
思わず顔をあげると、思ったよりも近い位置に天王子の顔があった。
「お前は俺のだからな」
「…は?」
「だろ?俺の女アレルギーを直すための道具。つまり所有物。
完璧な俺の所有物にはそれなりの身なりをしてもらわねーとな」
……こいつ。
一回どっかの崖から突き落としてもいいかな?
「帰る」
人を堂々と“道具”なんていうやつに服を買ってもらう?ごめんだ!
踵を返して店を出ようとしたが、その前にグイッと腕を取られた。
「自分の立場忘れんなよ」
そして強く引き寄せられる。耳元に口を寄せられて、コソッと天王子が囁いた。
「俺の一存でお前なんてどうにでもできる。拒否権ねーってこと忘れるな」
蘇るのは、天王子とのキス写真。
そうだ、アレをコイツが持ってる限り…私は弱みを握られたまま。
悔しいけどコイツは、あの学校では絶対的な権力者。
「どうする?」
天王子が私の腕を離して、挑戦的な笑みを私に向けた。
こいつ…本当…本当に
大っ嫌い!!



