愛されプリンス½





「その服ダサすぎ。一緒に歩いてる俺が恥ずいわ」


私の全身を改めて眺め回しながら見下したような口調の天王子。



「あ、あのねっ…これはあくまで変装で、目立っちゃいけないと思ったから!普段はもうちょっと可愛い服だって…!」



ざわ、とようやくその時、私は周囲の何やらただならぬ気配を察知した。



見ると、まわりの女子みんながこっちを見てる。



ムリもない。ただでさえ男子ってだけでココでは目立ってるのに。


それがよりにもよって天王子なんだから。



「…だからって仮にも俺の隣を歩くんだから」



天王子がニッコリ笑顔で、私の前に立つ。


まるで周囲の視線から、私を隠すみたいに。



「つべこべ言わねーでとっとと選べ」



笑顔で吐かれた暴言は、私だけに聞こえるように。






「…そんなこと言ったって私あんまりお金ないんですけど…お小遣いけっこう使っちゃったし」


天王子の柔らかい笑顔からは、“絶対買え”という圧力のようなものが伝わってくる。


仕方なく服をなんとなく見渡しながらそう言うと


「はっ、安心しろ。俺が買ってやるよ」


すぐ私の隣に並んだ天王子が言った。

まわりの視線を嫌でも集めているという自覚があるらしく、声はだいぶ抑えている。