まさか私なんかの意見を求められるとは思ってなくて、「へ?」と間抜けな声が出る。
「うん、どれがいいと思う?」
「え~…どれって言われても…」
正直、どれもこれもムカつくくらい似合っていた。
ちょっと微妙だな、とか派手すぎるな、と思うような服でも、天王子が着るとなぜかハマってしまうのだ。服に愛されてるなぁと思う。
「…どれでもいいんじゃない?」
思ったままのことを言うと、「ハハハ」と爽やかな笑顔が返ってきた。
「やだなぁ村田さん、適当じゃなくてちゃんと答えてよ?」
きっと今頃心の中では“テキトーなこと言ってんじゃねーぞドブスが!”なんて毒づいていることだろう…。
結局天王子は一着も購入せず、店員さんに愛想の良い笑みだけを振りまいて店を出た。
「あー、つっかれた。何着着せれば気が済むんだよあの店員」
店を出た瞬間消える天王子の猫かぶり笑顔。
「まじダリぃ。もうあの店には二度と行かねー」
「ニコニコしながら試着してたクセに…」
「うるせーな、つーか」
天王子が、しばらく離れていた私の右手をグイッとつかんだ。
「離すなっつったよな?」
「そ、そっちが試着するとき離したんじゃん」
「口ごたえすんな」
不機嫌そうにそう言って、天王子がグ、と繋いた手を軽く持ち上げた。
そしてそのまま、あろうことか一本一本、ゆっくり指を絡ませてくる。
さっきよりも明らかに密着したそれに、ジワリと顔が熱くなった。
こ、こ、これってもしや
かの有名な“恋人繋ぎ”ってヤツでは…!



