「っていうか!まだ待ち合わせより30分も早いじゃん!場所だってエントランスって」

「うるさい。俺が予定より30分早く準備終わったんだよ。文句あるか」



うわー…どこまで自己中なのこの男。



呆れてモノも言えない私の格好を下から上までジロジロ眺めまわす天王子。



「つーか…何だお前のそのカッコ」


そして不可解そうに眉をひそめた。



今日の私の服装。


ジーンズのパンツに黒いロゴが入ったシンプルな白Tシャツ。まだ半袖は少し寒いので黒いカーディガンを羽織り、顔にはサングラスと、マスク。



「…どっかに強盗でも入る気か?」

「違うわ!変装!」

「変装…?」


ググ、と天王子の眉間に皺が寄った。



「何のために?」

「何のためって決まってるでしょ?
学校の人に万一見られても、私だとバレないための変装!」


天王子と二人で街を歩いているところなんて見られたら、それこそどんな噂がたつか…!

私は安心安全な学校生活を送るため、こうしてやむを得なく奴に協力しているのだ。

その協力のための行動がそれを壊すことなんて、あってたまるか!