一瞬目を大きく見開いた天王子が微笑む。




いつもの意地悪で見下したような笑顔とは違う。優しく笑った。




「…あっそ」




天王子がチュ、とついばむみたいなキスを落とす。




そしてそのまま肩をおされ、ベッドに押し倒された。




すぐに天王子が、倒れた私の上に覆いかぶさってくる。




こ、この状況は…!





「っちょっと待って!一瞬待って」


「…却下」




天王子の胸を押す私の手首を、天王子がつかんでベッドに縫い付ける。




「言っとくけど俺はまだムカついてんだよ。お前が他の男に触られたこと」



「そ、それは…私のせいじゃな」



「黙れって」




少し余裕のないキスが降ってくる。



何度も角度を変えて、徐々に深くなるキスに、どんどん正常な思考力が奪われていく。






「……好き」




呟いたのは、夢の中かもしれない。




「…俺も。好きだ、一花」





そんな優しい声が聞こえたのも…夢、かもしれない。





夢でもいい。起きたらもう一度伝えよう。




何度だって、




好きだって。





「…愛してる」





もう何度目かも分からない、ひどく優しいキスが落ちてきた。