たしかに恨んだ。
裏切られたと思った。
でも、今じゃ妃芽の気持ちも少しは分かる…と思う。
俺が苦しんでた時間、たぶん、どっちの方がとかわかんねーけど
妃芽も苦しんでたんだって分かるから。
「妃芽…もう縛られなくていい、過去からも、俺からも。前に進め」
「……っ」
妃芽がギュッと唇を噛んだ。
泣きそうな顔をして、俺の胸を押し突き放す。
「やめてよっ…やめてよ、こんな最悪な女に優しくするの」
妃芽がポケットから何かを取りだした。そしてそれを強引に俺に押し付ける。
何だこれ…鍵?
「体育用具倉庫の鍵。今すぐ行って」
「は…?」
「そこに一花ちゃんがいる…九条先輩に頼まれたの。お仕置きしたいからそこに呼び出してくれって。
九条先輩タチの悪そうな男連れてきてて、今二人で閉じ込められてる…。
ごめん、私、まさかここまでするなんて、思ってなくて…っ!」
―――は…
地球から空気が消えたみたいだった。
「…何で…そんなことに?」
どうにか息を吐き出して、聞く。ドクドクと耳のすぐ傍で心臓の音がした。
「…私がバラしたから…玲と一花ちゃんが隣同士に住んでること。そしたら九条先輩激怒して…」
バンッ…!!
思い切り壁を殴る。
妃芽が怯えたような目で俺を見た。
「ほんとごめん…!」
「…許さねー」
なんだよ。
全部、全部
俺のせいだ。



