「…っ玲は」
妃芽が絞り出すように言った。
「一花ちゃんのことが好きなの…?」
「…はぁ?今そんなこと言ってる場合じゃ」
「答えてよ!大事なことなの…!」
妃芽が涙目で下から俺を睨みつけてくる。
はじめて見た。こんな妃芽の顔。
「…好きだよ」
すっげー心外だけどな。
でも俺が死ぬほど沖縄であいつに会いたかったのも、触れたかったのも、今こんなに走ってんのも
…そうじゃなきゃ全部説明つかねーんだよ。
「……なんで…」
妃芽の声は今にも消えてしまいそうなくらい、か細かった。
「何で…?私の方が先に玲に出会って、好きになって、付き合って…なのに何で今は私じゃなくてあの子なの…」
「…知らねーよ」
この俺の天才的頭脳をもってしても、何であの村人E女に惚れたのか一ミリも理解できねーけど。
「でも好きなんだよ死ぬほど。仕方ねーだろ?」
「…っ、」
妃芽は黙り込む。
そして吐き捨てるように
「玲っ…変わったね」
そう言った。



