愛されプリンス½









「…っ村田!」




学校内のどこにいるかなんて分からないからとにかく探し回るしかない。




俺は誰もいない校舎の廊下を駆け抜けて、教室に飛び込んだ。





だけど、そこにいたのはアイツじゃなくて






「…妃芽?」



「…玲?どうしたの、帰ってくるのは明日なんじゃ…」




ガランとした教室の中。



一人窓際の机に座っていた妃芽が、俺を見て驚いたように立ちあがった。




呑気に妃芽と会話してる場合じゃない。





「村田知らねー!?」





俺は教室の出入り口の壁に手をついたまま妃芽に聞く。





「…あー…一花ちゃん?知らない…けど」




言葉を濁し、視線を逸らす妃芽。





…嘘だろ。まさか妃芽が関係してんのか…?





俺は妃芽に近づいた。





「頼む。なんか知ってることあったら教えて。あいつ今ピンチっぽくて…」



「……だから…知らな」



「嘘だったら殺すぞ」





ビク、と妃芽の体が揺れた。



目を見開いて俺を見る。




「どうしたの…玲?何でそんな怖い顔…」



「うるせーとっとと知ってることを吐け。言っとくけど俺今1ミリも余裕ねーんだよ」




妃芽に詰め寄った。


恐怖に染まった瞳で妃芽が俺を見る。




怖いとかそんなの知らねー。今はあいつのことしか考えらんない。