無機質な音しかしなくなったスマホを耳に当てたまま固まる俺。




ちょっ…待て。一回落ち着け俺。




何だ今の…たしかにアイツの声…だったよな。




お茶だの胸だの言ってたけど、あの聞いたことのない切羽詰まった声。



服が擦れるような音。





微かに男の笑い声がした…ような。







…嘘だろ…?






最悪の事態が容易く想像できて、全身から血の気が引く感覚がした。





頭であれこれ考える前に体が動いてた。




スマホをつかんだまま何も持たず部屋を飛び出す。







嘘だろ。



嘘であってくれ。






エレベーターを待ってる時間すら惜しくて、階段を駆け下りた。