俺に電話してくる奴はだいたい決まってる。



俺は学校の女たちには一切連絡先は教えてないから、電話なんてしてくんのは開人かモデルの仕事の関係者くらい。



今日はたぶん、仕事の連絡はないだろうから、どーせ開人だろ…





…アイツから連絡がくることなんてないだろうしな。





はぁ、とため息混じりにカバンの中からスマホを取り出した。



そこに表示されていた名前に思わず思考が一時停止する。




そこに表示されていたのは




【村田 一花】






…唯一俺の連絡先を教えた女。



まだ出会った(というか関わり出した)ばっかの頃、いざとなったらコキ使ってやろうと無理やり連絡先を交換させた。



といっても連絡を取ることなんてほとんどなかったけど。あっても99%俺からだったけど。





…電話なんてくんの初めてじゃね…!?




俺ははやる心臓を抑えながら、ゴクリと唾を飲み込んで通話ボタンを押した。