乱雑な手つきでスマホ画面をタップし耳に当てる天王子。



「んだよ開人!?…は!?古典のプリント?提出今日まで?…知るかそんなもん!くだんねー用事で電話してくんな!!」



天王子は電話を切ると、ついでに電源も落として少し遠くのソファに放り投げた。



えぇ、あんなに投げて大丈夫なの…



思わず心配になってスマホに視線にやると、天王子が私をじっと見ていることに気付く。



天王子の目。あつい。





「えっと…」




じりじり近づいてくる天王子に、じりじり後退する私。




天王子が眉をひそめた。




「…何で逃げんの」


「べ、別に逃げてなんか…」


「続きしたいんだけど」


「続き!?」




とは、一体…!?




天王子の熱のこもった視線にクラクラする。



続きって、キスして、それから…!?




…だめだ。もう。ショートする。





「ではっ!!」




突然大きな声を出してベッドから飛び降りた私に、天王子が虚をつかれたように目を丸くした。



「わっ、わたくしは、帰ります!!」


「…は?おい、お前…」


「お大事にっ!!!」




そして床に置いてあった自分のカバンを引っ掴んで天王子の家を飛び出す。



天王子は何か言いたげだったけど、無理やりドアの向こうにシャットアウトした。