「…保健室行こ、天王子」



天王子は私に背を向けたまま答える。



「無理。つーかどっか行けって言っただろ?俺に構うな「あんたバカなの!?」



ビクッと肩を揺らした天王子が振り向いた。



「構うに決まってんでしょ!?ほんっとバカじゃないの!?バカ!」


「…ば、バカって俺は入学以来ずっと学年一位…」


「そういうこと言ってんじゃないからバカ!」




あぁもう、バカが止まらない。




私は天王子の隣にしゃがむと、腕を無理矢理私の肩にまわさせた。




「…っおい、触んなって…」


「いいから黙って立って!」


「……」



天王子はまだ何か言いたげだったけど、私の勢いに飲まれて黙った。



私に支えられながらなんとか立ち上がった天王子の足元は頼りなくフラついている。息遣いも荒かった。




「重いだろ…無理すんなよバカ…」


「…言っとくけど、私バカ力だから。あんた一人くらい超余裕」




長身の天王子を支えるのは容易ではなかったけど、なんとか余裕の顔してそう答えた。



そんな私を見て天王子が笑う。




「…ほんと、変な女」