「…お前ってさ」
そして耳元でしみじみと言う天王子。
「ほんと大して可愛くねーし貧乳だし従順じゃねーし生意気だし最悪だよな」
「…えっと」
喧嘩売ってるのかな?
「でも」
天王子の顔は見えないけど、私を抱きしめる体は熱い気がした。
「はじめはだたの女アレルギーの治療手段だったのに。…どっちかというと薬物だよなお前」
「…は?どういうこと?」
「…クセになる」
天王子が私の体を離す。
真っ直ぐ見つめてくる瞳は、見たことない熱を宿していた。
「…タチ悪」
天王子が私の後頭部に手をまわして引き寄せる。
―――天王子には妃芽ちゃんがいるのに。頭では分かってるのに。
まるで絶対に逆らえない重力みたいに。
私はゆっくり目を閉じていた。



