愛されプリンス½





天王子が私を見る。


私も天王子を見る。



隣同士に並んだ、理科室の、パイプ椅子。意外と距離が近いことに今気づいた。




天王子が私の手首から手を離す。



…やっと離れた。ホッとしたけどちょっと寂しい…なんて思う間もなく





「っわ、ちょっ!」



天王子が両手で私の髪の毛をグシャグシャにする。



「何っ…」



「じゃぁ触らせてんじゃねーよ」




不機嫌な声でそう言ったかと思うと、グイッと強い力で引き寄せられた。次の瞬間には温もりに包まれる。


天王子の手が背中にまわる。痛いくらいの強い力。





…なに!?



突然の事態に頭が追いつかない。心臓がバクバクうるさいことだけ分かった。




「…俺」



天王子の声がすぐ耳元で聞こえる。




「これがないと無理だわ」


「……え?」


「……死ぬ」


「は!?」




よく意味が分からないけどどうやら我が校きっての愛されプリンスは命の危機らしい。




「ぐ、具合悪いの!?だったら保健室…」


「おまえほんとバカしね」




天王子がギュッと私を抱きしめる力を強くした。