「な、なに!?寝たふり!?」
「ちげーよ起こされたんだよ、誰かさんが俺の顔を愛おしそ~に撫でてくるから…」
「はぁ!?誰が愛おしくなんかっ…」
「あーお前うるさい。寝起きの頭に響く」
天王子が気怠そうにそう言って体を起こす。だけど私の手首はつかんだまま。私は天王子に聞く。
「…これ何」
「…何って何」
「…教室戻りたいんですけど」
「つーかお前何しに来たの?」
「スマホ忘れて取り来た。…そっちは何でこんな所で爆睡してんの」
「…別に。最近寝てねーんだよ、ここ意外と穴場なんだよな」
「…ふーん。モデル忙しいんだ」
「…はぁ?別に、そういうわけじゃねーよ」
ふいっと天王子が顔を逸らす。だけど私の拘束は解かないまま。
振り払おうとしたら、ギュッと強い力で引き戻された。
ついでに睨まれた。不機嫌そうに。
「…あの…何か用事?」
片思いしている人間にわけもなく、こんなことしないでほしい。
「……別に」
「だったら…」
「座れよ」
天王子に強い力で引っ張られて、無理やり椅子に座らされた。
…一体なんなの?



