…そういえば、前も天王子の寝顔を見たことあったな。
あのときは確か体育館の出入り口で寝てて、その後そのまま撮影に拉致されて。
なんかよく分からないけど、二人でその…色々撮影するはめになって。
…最悪の思い出だ。だけど思い出すと、なんか少しだけ、楽しかったような気もする。
気付いたらまじまじあいつの寝顔を見つめてた。
相変わらず、嫌味なくらい整った顔。
こりゃぁ世間の女子も夢中になりますわ…
うんうんと心の中で深く頷く。
だけど、こいつの本性を知ったら、みんなどんな反応をするんだろう。
愛されプリンスは作られた仮面で、本当はワガママで自己中なガキ大将みたいな男。
きっと幻滅するんだろうなぁみんな、なんて思ってから、いやでも、その本性を知った上で好きになってしまった私はとんでもなく物好きなんじゃ…?という結論に至った。
「…ほんとは、あんたみたいな奴大っ嫌いなんだから」
寝ているのをいいことにベ、と舌を突き出してアッカンベーをしてやる。



