天王子と姫芽ちゃん、2人には2人だけの世界があって、そこに踏み込めないことがすごく、



…悲しいというよりも、



痛かった。胸がギュッと締め付けられるみたいに。




…そんなことあるわけないと思ってた。だけど。信じられないけど。不本意だけど。




…もう、逃げられないのかも。







「…ごめんね。樹くん…ごめん」



「…なにが?」





樹くんの声は、悟すみたいな優しい色。




背中を押されたような気がした。もう逃げちゃいけない、…逃げなくていいんだよって。




「私…あいつのこと…





…好き…なのかも、しれない…」





「…うん」





樹くんが頷く。





「わかった」



「…ごめんね。私、樹くんに告白された時はすごく嬉しかったし、樹くんと付き合えたら絶対幸せだって思ってた。なのに、でも…」



「ごめんはいらない」





樹くんが私の頭に手をのせて、そのまま髪の毛をクシャクシャにする。





「ちょっ…!?」



「告白忘れられてたことの仕返し。だからもう気にしないでいい」





ふんわり、樹くんが笑う。






「好きな人の恋を俺は応援するよ」