はぁぁぁ、と深いため息を吐き出した私の肩にコツン、と何かが当たった。


顔をあげると、私に向けて自分のノートを差し出している妃芽ちゃん。



「これ使って?」


「え」


「たぶん合ってると思うから」



受け取ると、綺麗な字でびっしりと問題の解答が書き込まれていた。



す、すご…


顔だけじゃなくて頭まで良かったのか、妃芽ちゃん。









無事問題を解き終えて席に着いた私。そこでちょうど授業終了を告げるチャイムが鳴った。



「ありがと妃芽ちゃん、助かった~」


私は妃芽ちゃんに恭しくノートを返す。




「ううん。それよりどうしたの?最近ずっと具合悪そうだよ?」


「…そ、そうかな?そんなことないけど」



体調は極めて良好。嘘はない。



「そう?」


妃芽ちゃんはノートを机の中にしまって微笑んだ。




「無理はしないでね」


「…うん、ありがとう」


「あっ玲だ!ごめんちょっと行ってくるね」


「あ、うん…」




妃芽ちゃんは廊下に天王子の姿を見つけると、すかさず駆け寄って行った。