…なに今の…バカにしたような、見下したような、笑顔。
なんか感じ悪い…。
しかも勝負になってない。
だって諦めるも何も、私は天王子のことなんて全然好きじゃないから。
女子と男子のスタートは、ちょうどトラックの反対側だ。
だけど天王子はなぜか女子側で女子に囲まれながら、珍しく険しい顔で何かを見つめていた。
なんだろう…?と思い視線の先を辿ると。
そこには一番先頭の列で、合図を待つ妃芽ちゃんがいた。
…天王子はいつもそうだ。
学校では鉄壁の猫かぶりスマイルのくせに、妃芽ちゃんの前ではそれが崩れる。
“じゃぁね。村田さん?”
“気を付けてね?”
…私に向ける顔だって。
みんなと同じプリンスの表情。



