「俺がプリンスだとしたら、お前はせいぜい村人Aにすらなれない村人E。妥当なセンだろうが」


フッと片方の口角だけ上げる意地悪な笑みを見せるプリンスが、心底憎たらしい。


こいつ本当にちょっとかなり抜群に顔が良いからって…何様のつもりなの!?



「断るっ!」



ドン、と思い切り奴の胸を押して突き飛ばした。



「村人Eにだって拒否権はあるんだからねっ!」


「…ふーん」



思い切り突き飛ばしたつもりだったのに、少しよろけただけのプリンスは、つまらなそうにジロジロ、私のつま先から頭の先まで眺めまわす。



「な、何!」

「…じゃぁ俺、言っちゃおうかなぁー」

「は?何が」

「隣にお前が住んでること。そういや一年の時俺の隣の席になった女…ずいぶん執拗に嫌がらせ受けてたみたいだけど」

「っ!!」



こ、こいつ…!!


面白そうに私を窺うプリンスを思い切り睨みつける。


なんて姑息な手段を…!



「…べ、別に。言いたいなら言えば!?たまたまマンションの部屋が隣になっただけで、あんたと私は何の関係もないんだっ…し…」


グイッ!と強く肩を引き寄せられて、あ、と思ったときにはプリンスの顔がすぐ目の前にあった。

唇に触れたなにか柔らかいもの。

そして、パシャッ!と響くシャッター音。



私から顔を離したプリンスが、茫然自失の私を満足気に見下ろした。



「関係ない?こういうコトする関係なのに?」



そう言ってプリンスが得意気に掲げたスマホの画面には、私とプリンスがキスをしている写真がバッチリ映しだされていた…



はぁぁぁい!?