…私も前に、天王子と休日一緒にいるのが目撃されて、九条先輩に呼び出されたことがある。
あのときは天王子が九条先輩に釘をさしてくれたから、たぶん私は無事で済んだ。
だから妃芽ちゃんを助けられるのは、やっぱり
「妃芽ちゃん、天王子に言おう?このこと」
「絶対に嫌」
だけど妃芽ちゃんはきっぱりとそれを拒否する。
「玲には言わない。絶対に」
「何で?九条先輩だって、天王子に言われれば…」
「このくらいで私は傷つかないから」
妃芽ちゃんが凛とした瞳で私を見る。
「だから一花ちゃんも、玲には絶対言わないで」
「…でも」
「言ったら一生許さないから」
それだけ言い残して、妃芽ちゃんは踵を返して廊下を歩いていった。



