―――びっくりした。



私は今目の前で起きた光景に戸惑いが隠せなかった。



「好きだろ」って、天王子、妃芽ちゃんに…。



「玲、わたしがチョココロネ好きなの、覚えててくれたんだ」



嬉しそうにはにかむ妃芽ちゃんはとても可愛い。



「優しいでしょ、玲」



優しい…?天王子が?



大切そうにチョココロネを胸に抱いた妃芽ちゃんと並んで歩き出す。




“優しさ”と“天王子玲”は、かけ離れたところにいると思う。

いつも自己中で俺様で、優しかったことなんて一度も…




“俺がずっと傍にいてやるから”




…いや、あの嵐の夜は、あの時だけは



…違ったかも。