“あんたに比べたら、大大大好き!”


“きっと付き合ったら幸せに…”





…………くっそイライラする。




無意識に力をこめていたらしい。


ノートに押し付けていたシャーペンの芯がボキリと折れた。





…最近の俺は“らしく”ない。




「じゃぁ天王子。分かるか?」



…は、と気付くと、教壇から数学担当の担任が俺を見ていた。



…やっべ、全く話聞いてなかった…




俺はどうにかいつも通りの笑みを浮かべて、わざとゆっくり席を立つ。




…こんなにボケッとするなんて、俺としたことが。




席を立ちながら、隣の席の教科書をチラ見する。



…問3の(2)、ってとこか。




解答を述べると、担任が満足気に頷いた。




「さすが天王子。正解だ」



だよな。



キャーッと色めきたつ女子に余裕ぶって手を振りながら席に着いた。




…あぁ、ダリー。授業中くらい静かにしてらんねーのかよ。