「春野妃芽です。よろしくお願いします」
翌朝の朝礼で、転入生として妃芽ちゃんが紹介された。
突然の美少女転入生の登場に、クラスはざわざわ色めき立っていた。
特に男子なんてキラキラ…いや、キラキラを通り越してギラギラしている。
(まさかうちのクラスだったとは…)
「みんな仲良くしろよー。じゃ、春野。席は…村田の隣な。面倒見てやれよ村田ー」
担任がテキトーそうな声でそう言う。
…私の隣!?
って、当たり前か。このクラスで空いている席は今、私の隣しかない。
このクラスはもともと奇数だから、一人だけ一人席になる。
つい最近の席替えで私がそのおひとり様になったのだ。
妃芽ちゃんが私の隣の席に向かってトコトコと歩いてくる。
そんな妃芽ちゃんに集まるクラス中の好奇の視線。と、私に集まる男どもの嫉妬の視線…。
「…よろしくね」
チョコンと席に腰かけた妃芽ちゃんが、恥ずかしそうにはにかんでそう言った。
んんん可愛い!
「こちらこそ、よろしくね」
これは妃芽ちゃんをめぐって、男どもの骨肉の争いが始まる予感がする…。



