「…そのセリフそっくりそのまま返すわ」
「あ?」
「ずかずか人んちにいっつも上がり込んでんのはアンタでしょ!?人のベッドに勝手に寝転ぶし人のマンガ勝手に読むし!」
「俺はいいんだよ」
でたー!わがままプリンスの棚上げ発言!
「帰る」
アイスノン枕と冷えピタシートを適当に投げ捨てて玄関に向かった。
あー、ムカつくムカつくムカつく!
具合悪いっていうのも仮病だったみたいだし!わざわざ来ちゃってバカみたい!
怒りながら靴を履こうとしたところで、「待てよ」と背後から奴の声。
「あいつと二人で買い物いってたのかよ」
「…は?」
「なんなのお前ら、付き合ってるわけ?」
振り向くと、壁によりかかって偉そうな天王子。
「…人のプライバシーにずかずか踏み込んでこないで」
「は?お前」
「大っ嫌い」
バンッ!と乱暴にドアを閉めた。
…なにがプライバシーだ。バカじゃないの。
あいつはいつも遠慮なく人の領地に踏み込んで、遠慮なく触れて。
“お前のことは何でも知りたいんだよ”
…あんなこと言うくせに。



