な、何でわかったんだろう!?エスパー!?
樹くんが私から、アイスコーヒーの入ったカップに視線を落とす。
「もしかして一花ちゃん…天王子くんのことが好きなの?」
「……はぁ?」
や、やばい。
あまりに有り得ないことを言われたもんで、めちゃくちゃ素の声が出た。
咳払いして、慌てて声を作り直す。
「何言ってるの樹くん、それはない。ありえない」
「でも、こないだ天王子くんが席を立ったとき、後を追いかけていったでしょ?」
…天王子が女子に抱き着かれて、トイレに行ったときのことだ。
「それは…」
「天王子くんが先に帰っちゃった後、なんか一花ちゃん機嫌悪かったし」
「え!?」
そ、それはあの時あいつにムカつく態度を取られたからで。
って、そのムカついてるのは全く表に出してないはずだったのに…バレてた!?
私が分かりやすいのか、はたまた樹くんが鋭いのか…。
でもどちらにしたって、私が天王子のことを好き?
その考えは外れてる。



