「…へぇ。それは失礼な人だね」
樹くんが冷静にそう言って、アイスコーヒーを口に含む。
「そう!ほんっっと失礼な奴なんだよね!
わがままで自己中でナルシストで口も悪くて!ほんっっと嫌な奴!!」
「…へぇ」
「それでまた嫌味なのがさぁ、そんな性格悪いくせに外面はメチャクチャいいの!おかげで女子からはモッッテモテ!頭くるでしょ!?」
なんか一気に喋ったら喉が渇いた。
タピオカミルクティーは底をついてしまったので紙コップに入った水に手を伸ばす。
黙って私の話を聞いてくれていた樹くんが、私を見つめて言った。
「でも楽しそうだね」
「…えぇ?」
「その人のことを話してるときの一花ちゃん、楽しそう」
顎の下で手を組んで、私を見つめる樹くんが浮かべる笑みは、穏やかだけど、どこか切なそうな。
「もしかしてその人って…こないだ合コンに来てた人?モテモテだった…天王子くん?」
「…え」
図星!!



