バサッ…
「ぶっ!」
目を閉じた私の顔に、何かが乱暴に投げつけられた。
「何っ…!?」
慌ててその投げつけられたものに手をかけて退かす。
…バスタオル?
「…早く服着ろ」
天王子が、私に背を向けて立っていた。
「いつまで寝転んでんだよ。バカじゃねーの」
「なっ…」
ピシャンッと鋭い音と共に脱衣所の扉が閉まる。
ほどなくして、電気がついた。
どうやら天王子がブレーカーを上げてくれたらしい。
「…バカか、私…」
てっきりキスされるのかと、思った。
急いでバスタオルで体を拭いてパジャマを着る。
そのまま脱衣所で髪の毛を乾かした。
…さっきの天王子、なんかこわかったな。
天王子が、天王子じゃないみたいだった。
ゴォーとドライヤーの熱風で私の髪の毛がフワフワなびく。
私の腕をつかむ力が、強くて。ピクリとも動かせなかった。
私よりも大きくて、ゴツゴツした手。
…わかってたことだけど
天王子って、男子なんだな。



