慌てて天王子から離れようとした。
だけど
「きゃぁっ…!!」
ツルリと足を滑らして、あっという間に視界が反転する。
「おいっ…!」
天王子の焦った声がして。
転ぶっ…!!
ぎゅっと目を閉じて、来る衝撃に覚悟を決めた。
だけど。
……あれ?
来るはずだった衝撃はいつまでもこない。
恐る恐る目を開ける。
ていうか、なんか体の下、柔らかい…?
「…っいってぇ…」
「てっ…天王子!?何やってんの!?」
私の下で、天王子が苦しそうに唸ってた。
「はぁ?何やってんのって…お前のせいだろっ何やってんだよドアホ!!」
「ごっごめん…」
どうやら天王子は咄嗟に私を受け止めてくれたらしい。
…まさか天王子が私を助けてくれるなんて。
「…あ、ありがと、ごめん!」
「…別に…礼とかいいから、早く退け…」
暗闇の中で、パッと瞳がぶつかった。
そこで私はハタと思い出す。
そうだっ…今…裸っ…!!!
「ごっ!ごごごごめん!!すぐ退きっ、!?」
立ち上がろうとした私の後頭部を、グイッと天王子が強い力で押さえつけた。
早く退けって言ってたくせに、これじゃぁ身動きが取れない。
「て、てんの…わっ」
グ、と天王子が体を起こしたと思ったら。
再び、あっという間に視界が反転する。



