抱きしめる腕に力を込めた天王子が、ポン、ポン、とまるであやすみたいに私の髪を撫でる。
たしかに天王子は、私の家に来る度私をハグして帰る。
でも何で今…このタイミング?
鼻腔いっぱいに広がる天王子の甘い香り。
私の髪に触れる手つきはまるで壊れ物を扱うみたいに優しい。
…いっつも私のこと、バカにするくせに。
ブスとか村人Eとかいうくせに。
…こんなのずるい。
勘違い、しそうになる。
でも…
キュッ、と。
ゆっくり、天王子の背中に腕を回した。
さっきまであんなに怖かったのが嘘みたい。
あまくて、あったかい。
なんかすごく安心する…。
天王子の腕の中で目を閉じた。
瞬間
「…っ、つーか、さ」
天王子が突然、私を引き剥がし立ち上がった。



