は、と樹くんが少しだけ口角をあげた。
「やっぱチャラいんだ、開人」
「と思う…。全校女子のラインはみんな知ってるって言ってたし、こないだなんか屋上で女子膝枕してたし…」
両脇に女子はべらせてどこのホストクラブかと思ったよ!!
あの時の光景を思い出していると、ふはっと樹くんが声を出して笑った。
あ、笑うとマジメそうな顔がちょっと崩れて、なんか幼い…
「変わらないな、開人も」
それからはずっと樹くんと話していた。
樹くんは水川とは小学校が一緒で、通っていたサッカースクールも同じだったらしい。
中学は別々だったけど、ちょくちょく連絡を取り合っては遊ぶ関係で。
家からだいぶ離れた朝倉学園を受験すると聞いた時は、すごく驚いたと言っていた。
「小学校の時には既にクラスに3人も彼女がいてさ」
「うわっ…水川っぽい…」
はじめはマジメそうな印象しかなかった樹くんだけど、話してみるとよく笑うし、笑うと少し空気が柔らかくなる。
穏やかで優しくて、なんだかすごく話しやすい。
すぐに誰かを村人Eだのブスだの言ってくる誰かさんとは大違いだ。
なんか、心が安らぐ…。
樹くんの話に笑いながら、少し遠くの料理を取ろうと手を伸ばした時だった。
強く感じる誰かの視線。
なに…!?
恐る恐る視線の方を見てみると
私とは対角線上に座った天王子が、なぜか物凄い形相で私を睨みつけていた。
な、何!?



