「キングはこっち側の一番奥ね~♪」
水川に指定された席に向かうと、またしても一番端っこの席だった。
隣は
「えっと…樹くんだよね?」
「あ、あぁ。えっと…一花さん」
頭が良さそうな、メガネ男子の樹くん。
隣に腰かけると、ビクッと緊張したように僅かに肩を揺らした。
「ご、ごめん。俺人見知りで…実はすごい苦手なんだ、こういうの。なんかごめんね、こんな俺なんかの隣で…」
そして申し訳なさそうにオレンジジュースに手を伸ばす。
合わない視線。
どうやら、ほんとに初対面の人が苦手らしい。
そういえば、今日も喋っているのは他の男子ばっかりで、樹くんはほとんど喋っていなかったかも…
「…実は私もそうなんだ」
私も樹くんの真似してリンゴジュースに手を伸ばす。
樹くんがチラ、とこっちに視線を向けたのが分かった。
「合コンなんて来たことなかったし、水川の友達ってみんなチャラいのかな?とか思ってて…けっこうドキドキだった、実は」
樹くんみたいなマジメそうな男子がいるなんて意外だった。



